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2011. 02. 02  
 こんばんは。(・0・。) ほほーっです。

 最近何かと忙しくてよそのホームページをのぞくことができずにいたのですが、小学校のホームページで石徹白の5年生の子の作文が岐阜県の小学校作文コンクールで特選を受賞したことを知りました。あわてて1月16日の中日新聞を取り出して読んでみました。とてもきれいな文章で読んでいて目がウルウルウルウルしてしまいました。

 こんな石徹白の子供の活躍を石徹白ニュースで取り上げない訳にはいかないと思い、新聞に掲載された文章をそのままここに載せたいと思いますので、皆さんどうぞ読んでみてください。




 みこになって

 やっぱり、今年は私もやることになったんだ。でも困るなあ、練習が何度もあるっていうし。
 毎年夏に行なわれる中居神社の創業祭。その中にうら安のまいというまいがある。そのみこを、私がやることになった。石徹白の場合、子供が少ないから女の子だったら高学年になれば、必ずやるってことは分かっていたけどやっぱり不安が大きい。それに、宿題や、あそぶ時間が少なくなって大変。
 そんな私の不安にはだれも気づいてくれないで、あっという間に練習初日がやって来た。練習は、七月の初めから始まった。三、四年生のときは、五月の例大祭で五だんの神楽というまいがあって、それは一カ月ぐらい練習をした。私はそのことを思い出していた。今年は日ていの都合で練習が二週間ていどしかとれないということが分かった。
 「創業祭までにちゃんとできるのかな。心配だな。でも、練習時間が少ないのはちょっぴりうれしいな」と思っていた。
 そして、いよいよ練習が始まってしまった。私の他に、中学一年生の花さん、千智さんもいっしょにまうことになっている。この二人とは、かなり仲がよかったので、安心してできると思った。うら安のまいは、三つのまいで構成されている。まずは、おうぎのまいとすずのまいの練習から始まった。教えてくださるのは、保育園の先生でもあるちえ美先生だ。
 おうぎのまいは、とにかくおうぎのあつかいが難しい。おうぎは、どんな時でもまっすぐに立たせて、おうぎに描かれている絵が見ている人にちゃんと見えるようにしなければいけないのだ。
 私は、さっそくここでただでさえ少なかったやる気が一気にしぼんでしまった。しかも花さんたちは、このまいをやるのが三回目だからか、すごく上手におどっていて、自分がどんどんおくれていくようだった。
 あせり始めた私は
 「二週間の練習では、間に合わない」と思うようになった。そんな時、ちえ美先生は
 「晴子ちゃんは、初めてなんだからあせらなくていいよ」と声をかけてくださった。
 そのことが支えで私は気持ちを強く持ち直すことができた。それに、三、四年生の時にまった五だんの神楽の経験も勇気を持たせてくれた。そういう気持ちになってやってみると不思議なことに、やる気がどんどんわいてきて、練習が楽しいと感じるようになった。
 「ゆっくり、ゆっくり、ていねいに、次の動きはおうぎをひねって」。私は心の中でそう言いながらまいの練習を続けた。難しいところは家でも練習をした。そうして、おうぎ、すずのまいは、ちえ美先生から合格をいただけた。
 三つ目のまいは、おと女のまい。これは、さかきという枝のようなものを使うまいだ。これはと中で、一回転するところがある。私は、そこでいつもフラッとなってバランスをくずしてしまう。それと
 「次はどうするんだったかな」と、覚えることが多すぎていろんな動きが頭の中でまざってしまった。
 でも、何回も練習をくり返していくうちにできるようになった。そして三つのまい全て通してもできるようになってきた。そこで、まいだけでなく、三人のみこが神様の前に進み出るところの練習もした。
 男の人たちの笛や太こに合わせるとテープとはちょっとずれていて、
 「あれ、なんかずれているような」とぎこちない動きになってしまった。でも何回かやるとなれてきた。そして最後の練習がおわった。あさっては本番。最初はあれだけいやがっていた私がいつのまにか、楽しくなっているのが自分でも不思議でしょうがなかった。
 そして当日。八時半に中居神社へ行って、衣しょうに着がえた。衣しょうを着ると身がひきしまった。すずとおうぎを持って本番を待った。いよいよ十時になった。まいを始める時こくだ。
 「大丈夫、大丈夫、きっとできる」。そう言い聞かせて、すっと立ち上がった。神様の前に進み出ると、ふっと気持ちが切り替わって、頭の中で考えていたことが消えた。というより無くなった気がした。次の動きは何か、そんなことも考えることもなく、体が勝手に動いていくようだった。別の私が他のどこかにいて、まいをおどる私たち三人を見ているような感じだった。
 あっという間だった。いや、実はすごく長い時間だった気もする。なぜか、私は無心だったようで、まいをおどっているときのことは今でも、よく思い出せない。気がついたらたくさんの人たちから「すごかったね」「いっぱい練習したんだね」と言われていた。
 そこでようやく自分に返った。そして、ほっと安心して
 「ちゃんとできたんだ」とうれしく思った。
 私は、今回、二つの不思議な体験をした。
 一つは、いやがっていたことがいつの間にか楽しくなって一生けん命になって練習していたこと。もう一つは、頭の中が無心になって、体が勝手に動いたこと。けれどこの二つのことは、どこかでつながってる気もする。
 私はまた来年もうら安のまいをやることになると思う。そのときは、やるからにはやりぬくという強い決意と、石徹白のみことして自分がやらなくちゃという使命感をもってのぞみたい。そしてもう一度あの不思議な体験を感じたいと思った。




 どうでしたか。皆さんからたくさん拍手がもらえるといいなあと思っています。

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No title
H子さんの作文は中日に載りましたが、こうしてHPに転載しなおしていただいたことによって「世界」に広がりました。英語版でないですが…。H子さんの文才というか感性もきっと白山神が降臨したことによってオカルト的に開花したようです。その陰に担任の先生たちの書く力をつけようという努力もあったことも合わせてCMさせてください。K校長先生のお話では石徹白小の他の子たちもかなりいい線までいっていたそうです。石徹白の子たちは素敵な自然、文化、そして地域の方、先生たちに恵まれて、すくすく育っているなあと感じます。巫女の作文が題材であることは白山文化を継承している石徹白ならではのものですね。ほほーさん長い作文を紹介してくださって本当にありがたいです。
先生コメントありがとうございます。

この作文の素晴らしいところは、最初は決して積極的ではなかった自分が、自分の役目だからと一生懸命取り組むうちに、友達の姿や先生の励ましによって楽しい気持ちが生まれ、それが誰しもが体験できないような境地までに達した不思議な感じを心のありのままに綴っているところだと思います。体験したものだけが語ることの出来る話というか。

白山信仰がベースにあるからなおさら不思議な雰囲気がするわけで、まさに石徹白の子にしか書けない作品だと思って読みました。
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